ごあいさつ
論文抄読のまとめ 2024〜 (歯科関連の方へ)
側方サイナスリフト術において粘膜の厚み(>5mm <5mm)が与える影響の比較
原題 :Changes in the Maxillary Sinus Membrane Thickness and Sinus Health Following Lateral Sinus Floor Elevation : Comparing Preoperative Mucosal Thicknesses of
< 5mm and > 5mm
筆者 :Kazem Khiabani, Farzaneh Nourbakhshian, Mohammad Hosein Amizade-Iranaq
掲載紙: JOMI VOL39 Isuue6 P867-874
PURPOSE
シュナイダー膜の厚さの違いが側方サイナスリフト術の予後に与える影響を調査すること
MATERIALS AND METHODS
適応条件
・18歳以上
・インプラント埋入部分のシュナイダー膜が平坦かつ厚さ10mm以下
・埋入部分に2.5〜6mmの既存骨
除外条件
・全身疾患
・副鼻腔炎、粘膜疾患、悪性腫瘍に罹患中もしくは既往がある
・インプラント予定部位が抜歯後3ヶ月未満
・口腔衛生不良、歯周病未治療
・10本/日以上の喫煙習慣
・未加療の鼻性副鼻腔炎の兆候
・季節性アレルギー性鼻炎、解剖学的鼻腔閉鎖
・上顎洞小孔閉鎖
・ドラッグもしくはアルコールの乱用
・CBCTにてシュナイダー膜を計測し、厚さ5mm以下群(A群)と5mm以上群(B群)に分類
・1人の術者が側方アプローチによるサイナスリフト術(DFDBAおよびFDBA、メンブレンは不使用)およびインプラント埋入を同日に処置
・パーフォレーションが起こった際には吸収性のコラーゲン膜にて修復
・術前および術後6ヶ月のシュナイダー膜の厚みと骨量をCBCTにて計測し分析
RESULTS & DISCUSSION
・5mm以下群(A群)20症例 5mm以上群(B群) 20症例(インプラント52本)を計測
・27.5%が♀ 72.5%♂ 平均年齢48.8±7.8歳(34-65歳)
・術前のシュナイダー膜はA群が1.4±0.9mm 、B群が6.8±1.0mmで、術後のA群は1.3 ±0.6 mm B群は3.4 ±1.7mmとなりB群のみに有意差を認めた
・増成骨量および既存骨量に関しては両群ともに術前後においてどちらも有意差を認めなかった
・シュナイダー膜の裂孔に関しては両群とも20%で有意差はなく、いづれもリカバリーされた。副鼻腔に関する合併症も両群ともに認めず、剥離時の出血症例数と挙上時の抵抗はB群が有意に高かった
・手術時間に関してもB群が有意に高かった
CONCLUSION
側方サイナスリフトを行う際に、シュナイダー膜の厚さが >5mm群と <5mm群において術後合併症に差はなく、>5mmの厚みのある症例は禁忌症ではない