ごあいさつ
論文抄読のまとめ 2024〜 (歯科関連の方へ)
歯科用インプラントロボティックサージェリーの正確性:システマチックレビューとメタアナリシス
原題 :In Vivo Accuracy of Autonomous Dental Implant Robotic Surgery: Systematic Review and Meta-analysis
筆者 :Alessandro Pozzi, DDS, PhD1,2,34/Paolo Carosi, DDS, MSc, PhD',5/Claudia Lorenzi, DDS, PhD1.5/ James Chow, DDS®/Hom-Lay Wang, DDS, MS, PhD /German O. Gallucci, DMD, PhD3
掲載紙: JOMI VOL40 issue6 P683-690PURPOSE
インプラント治療におけるロボティック
サージェリーの埋入精度を分析すること
MATERIALS AND METHODS
・P:歯科用インプラント治療を受けた患者
I:ロボティックサージェリー、特に自立型ロボットを用いた埋入(ADIR)
C:ソフトウェアによる術前計画
O:埋入位置の精度
S:RCT 前向き研究 後ろ向き研究
ケースシリーズ(ケースレポートは除外)
・MEDLINE, PubMed, Embace, コクランライブラリーから発表年に関わらず抽出
・選択基準
英語で書かれた少なくとも10名以上の患者における、ADIRを用いて埋入されたインプラントの埋入深度と角度の精度評価である論文
・2名の研究者が独立して選択し、意見の不一致は合意するまで協議
→最終的に6文献を採択
・計画と埋入後のプラットフォーム中心の3次元的ずれ、根尖部の3次元的ずれ、角度のずれをアウトカム
RESULTS & DISCUSSION
・メタ分析の結果、プラットフォーム中心
のずれは0.60mm、根尖部は0.63mm、角度は1.242°で、s-CAIS( 1.23mm, 1.46mm, 3.42°)・d-CAIS( 1.07mm, 1.27mm, 3.43°)と比較して良好
CONCLUSION
・本研究の限りにおいてはADIRは部分欠損、全部欠損症例のいずれにおいても埋入深度・角度に関してs-CAIS, d-CAIS よりも有意に正確であった
TOPIC OF CONCERN
s-CAIS : サージカルガイドを用いる方法
d-CAIS : ガイドは用いずハンドピースの動きを追跡支援し修正
r-CAIS2 (A D I R): ロボットが自律的にハンドピースを制御し、術者は監視
グラフトレスの解決法としてショートインプラントを用いることについてのエビデンス
原題 :Evidence Supports the Use of Short Implants as a Graftless Solution
筆者 :Michael S Block
掲載紙: JOMI Vol40 issue5 P547-554
PURPOSE
ショートインプラント(単冠・連結冠)において使用する際の情報を提供すること
MATERIALS AND METHODS
・少なくとも1年以上経過(1990〜2023発行)した論文をPubMedにて検索
・6つの臨床的質問を設定し、上図のクライテリアを満たす50文献から1人の研究者が答えをナラティブに要約した
・ショートインプラントの定義は >8mm
RESULTS & DISCUSSION
1ショートインプラントを用いた際の全体的な成功は何か?
・システマチックレビューにおいてショートインプラントの生存率は単冠・連結冠ともにロングインプラントと同等であった(158〜6193本:観察期間は多様:生存率は92〜98%)
・4841本のインプラントを用いた後ろ向き研究にて喫煙とショートインプラントが早期脱離のリスクとなることが記されている
・34人60本のインプラント(平均39ヶ月の荷重期間)を用いた研究ではショートロングともに100%の生存率であった
・インプラント周囲炎はショートインプラントの失敗の74%に認められ、喫煙と歯周病の既往はリスクを増大するが、部位に関しては有意差を認めなかった。
2クラウン・インプラント比はショートインプラントの周囲骨レベルに関連するか?
・3本の後ろ向き研究において(クラウンインプラント比が平均2.0 :0.9-3.2)単冠・連結冠ともに関連を認めなかった。
3ショートインプラントを連結することは成功に関係があるか?
・ショートインプラントを連結した際の生存率は87.6-98.9%で、周囲粘膜炎は22.5%、インプラント周囲炎は7.2%であった。
・95人209本の連結冠インプラントに対しての調査においての5年生存率は6mmが96.0%、11mmが98.9%であった。
4ショートインプラントの単冠補綴に長期予後はあるか?
・単冠のショートインプラントにおけるシステマチックレビューでは、生存率は95%、37.9%に出血、22.45%にインプラント周囲炎、11.29%に感染が認められた。
・5年の前向き研究では、単冠のショートインプラントは成功率86.7%で10mmインプラントでは96.7%であった。
5上顎洞挙上術を併用するロングインプラント治療以上にショートインプラントを用いることは有用か?
・包括的な論文がないため限定的ではあるがショーインプラントの方が合併症は少なく、生存率のリスクレシオは1.02であった。
6骨増成が必要な部位にショートインプラントを用いる際の成功率は?
・4骨増生の失敗歴のある35名の患者に
4mmのショートインプラントの連結冠治療を行なった調査では、平均41ヶ月の予後において98%の生存率で、軟組織の評価も含めた荷重後の生物学的5年成功率は86.4%であった。
・ショートインプラントの生存率は84%、骨造成を伴うロングインプラントが96%との報告があり、ショートインプラントが遜色なく使用できるとされているが、これは早期脱離を除いたデータである。
CONCLUSION
ショートインプラントの連結冠治療はロングインプラントと比較し遜色がないが、単冠は失敗率が高く、その理由は周囲粘膜の炎症によるインテグレーションの喪失と考えられる。
9種類のインプラント表面粗さと濡れ性及び酸素と炭素による汚染との関係
原題 :Relationship Between Roughness and Wettability of Nine Types of Implant Surface Oxygen and Carbon : In Vitro Evaluation
筆者 :Dougles Sampaio, Gustavo Batista Grolli Klein, Sheila Cavalca Cortelli,
Jorge Luiz Rosa, Giovani Souza Vieria, Rogerio de Lima Romeiro
掲載紙:JOMI VOi40 issue4 P439-448
PURPOSE
9種類のインプラントの表面粗さと親水性の相互関係を評価すること。また酸素及び炭素による汚染条件に関しても調査すること
MATERIALS AND METHODS
・機械研磨(MI)
酸化チタンブラスト処理(TOI)
酸化チタンブラスト・酸エッチング
(TOAEI)
ジルコニアブラスト・酸エッチング
(ZAED)
リン酸カルシウムコート(CPD)
実験素材(XD)
2種類のエッチング・ハイドロキシアパタイトコーティング(DAEHAS)
2種類のエッチング(DAES)
未加工(AMP)
の9種類の表面生状を持つ板状検体を作成(AMP以外はグレード4、AMPはグレー
ド5のチタンにて作成)
・表面粗さの分析は光学的表面形状分析装置を用いて分析(5標本)
・親水性の分析は表面液滴法を各検体3箇所で行い分析(4標本)
RESULTS & DISCUSSION
表面粗さは粗い順に
AMP TOI DAES CPD MI ZAED XD DAEHAS TOAEI
有意差がなかった組み合わせは太字
親水性は高い順に
CPD ZAED XD MI TOAEI TOI DAEHAS DAES AMP
有意差がなかった組み合わせは太字
表面粗さと親水性については、ZAED DAES MI に正の相関を認め、他は相関なし
CPD DAEHAS AMP TOIにおいて行った炭素及び酸素による汚染については表面粗さ親水性ともに相関を認めず
CONCLUSION
表面粗さと親水性については、ZAED DAES MI において正の相関を認めた
炭素及び酸素による汚染と表面粗さ親水性には相関を認めなかった
インプラント支持ジルコニア冠における咬合面および軸面厚さが破折に与える影響
原題 :Effect of Occlusal and Axial Thickness on the Fracture Load of Implant-Supported Monolithic Zirconia Crowns
筆者 :Min-Gyung Seo, Kyung-Ho, Yoon-Hyuk Huh, Chan-Jin Park, Lee-Ra Ch
掲載紙: JOMI Vol40 No3 313-320PURPOSE
インプラント治療におけるジルコニア冠の咬合面及び軸面の厚さが破折強度に与える影響を調査すること
MATERIALS AND METHODS
・咬合面厚さ 0.5mm 1.0mm
・軸面厚さ 0.4mm 0.8mm 1.2mm
→上記組み合わせによる6通りのアクセスホール付きジルコニア冠を作成
・20μmのセメントスペースを設けて作成し、アルミナサンドブラスト処理後レジンセメントにて接着
・5℃の冷水と55℃の温水を用いて30秒6000回のサーマサイクル(1年から1.5年を想定した経年劣化処置)
・ユニバーサルテストマシーンを用いての
破折強度の測定
・光学顕微鏡で破折した検体を観察し、分類(A:マージン部に達しない破折 B:マージン部に達する破折 C:クラックのみ)
・破折面のSEM像を観察
RESULTS & DISCUSSION
・6種類の検体の中で1.0×1.2mm群が最も強い破折強度を示し、0.5×1.2mm群に関しても1.0×0.4mm 群、1.0×0.8mm群よりも有意に高い破折強度を示した
破折の種類に関しては、0.5×0.4mm群が0.5×0.8mm群以外の他群と比較して有意にマージンに達しない破折(Group A)が多かった
1.2mm群においてはマージンに達する破折
(Group B)が最も多かった
・SEM像にて0.4mm群 0.8mm群では捻れた割れ目が観察されたが、1.2mm群では観察されなかった
・咬合面厚さの方が軸面よりも影響が大きいとの報告もあるが、アクセスホールを持たない検体による実験である
・SEM像にて捻れた割れ目が観測されていることより軸面厚さが十分でないジルコニア冠は長時間の負荷に耐えれないことが示唆される
CONCLUSION
軸面厚さを0.8mm群と1.2mm群の破折強度の差は咬合面厚さ0.5mm群と1.0mm群の差よりも顕著で、アクセスホールを有するインプラントにおけるジルコニア冠においては十分な軸面厚さをとることが破折強度の観点から重要である
インプラント破折に影響を与える要因分析
原題 :Clinical Outcomes of Dental Implant Fractures: A case Series and Analysis of Influencing Factors
筆者 : Zhen Li, Yun Yang, Meng Yang, Xin Tong
掲載紙: JOMI VOL40 issue2 P250-256
PURPOSE
フィクスチャー破折を観察し、影響を与える因子を分析すること
MATERIALS AND METHODS
・2007年から2019年に南京大学病院にてインプラント治療を受けた19名(♂15 ♀4 22-70歳)21本の破折インプラントについて調査した
調査基準
・18歳以上
・10年以内にインプラント治療を受け、最近1ヶ月以内に破折が起こった患者
・他に歯科疾患を有しない
・良好な咬合
・骨量・骨密度ともにインプラント治療に十分である患者
RESULTS & DISCUSSION
・13人が臼歯部での破折、6人が前歯部での破折
・12本がStraumann 5本がBego
3本がLifecore 1本がAnthology
・8本が上顎前歯部 3本が上顎臼歯部
10本が下顎臼歯部
・11本が単冠(3本が前歯部8本が臼歯部)
9本が連冠かブリッジ
(4本が前歯部5本が臼歯部)
CONCLUSION
・インプラントの破折を減少させるにはインプラントデザイン・適切な半径・上顎における合理的な補綴設計が有効である
TOPIC OF CONCERN
・治療方針が特殊?
・部位・補綴設計・他条件全てが多様であるにも関わらず、N数が限られるため特殊な状況が多い
・本研究による結果と結論が乖離
少なくとも得られると考える内容
フィクスチャーの破折は悪臭癖や過大な咬合力に起因せず、補綴設計によっては、考えているよりもおこり得るものかもしれない