ごあいさつ
論文抄読のまとめ 2024〜 (歯科関連の方へ)
インプラント支持ジルコニア冠における咬合面および軸面厚さが破折に与える影響
原題 :Effect of Occlusal and Axial Thickness on the Fracture Load of Implant-Supported Monolithic Zirconia Crowns
筆者 :Min-Gyung Seo, Kyung-Ho, Yoon-Hyuk Huh, Chan-Jin Park, Lee-Ra Ch
掲載紙: JOMI Vol40 No3 313-320PURPOSE
インプラント治療におけるジルコニア冠の咬合面及び軸面の厚さが破折強度に与える影響を調査すること
MATERIALS AND METHODS
・咬合面厚さ 0.5mm 1.0mm
・軸面厚さ 0.4mm 0.8mm 1.2mm
→上記組み合わせによる6通りのアクセスホール付きジルコニア冠を作成
・20μmのセメントスペースを設けて作成し、アルミナサンドブラスト処理後レジンセメントにて接着
・5℃の冷水と55℃の温水を用いて30秒6000回のサーマサイクル(1年から1.5年を想定した経年劣化処置)
・ユニバーサルテストマシーンを用いての
破折強度の測定
・光学顕微鏡で破折した検体を観察し、分類(A:マージン部に達しない破折 B:マージン部に達する破折 C:クラックのみ)
・破折面のSEM像を観察
RESULTS & DISCUSSION
・6種類の検体の中で1.0×1.2mm群が最も強い破折強度を示し、0.5×1.2mm群に関しても1.0×0.4mm 群、1.0×0.8mm群よりも有意に高い破折強度を示した
破折の種類に関しては、0.5×0.4mm群が0.5×0.8mm群以外の他群と比較して有意にマージンに達しない破折(Group A)が多かった
1.2mm群においてはマージンに達する破折
(Group B)が最も多かった
・SEM像にて0.4mm群 0.8mm群では捻れた割れ目が観察されたが、1.2mm群では観察されなかった
・咬合面厚さの方が軸面よりも影響が大きいとの報告もあるが、アクセスホールを持たない検体による実験である
・SEM像にて捻れた割れ目が観測されていることより軸面厚さが十分でないジルコニア冠は長時間の負荷に耐えれないことが示唆される
CONCLUSION
軸面厚さを0.8mm群と1.2mm群の破折強度の差は咬合面厚さ0.5mm群と1.0mm群の差よりも顕著で、アクセスホールを有するインプラントにおけるジルコニア冠においては十分な軸面厚さをとることが破折強度の観点から重要である